「こども」と「おもちゃ」と「暮らし」の共存<教育と整頓のヒント>

こどもとの暮らしは、発見や学びがたくさんあります。
でも、おもちゃの扱いには頭を悩ませている家庭も多いのではないでしょうか。

かく言う我が家も、日々散らかりがちなおもちゃの扱いに手を焼いていました。
リビングの一角に山のように積まれたおもちゃ。
正直、有るもの全てを親も把握できていませんでした。

そこで、今回、おもちゃへの触れさせ方と管理方法を一新することにしました。

どのような改革をしたかを説明する前に、こどもがおもちゃで遊ぶときに良いとされている環境とは何か考えてみましょう。

おもちゃを棚などに並べ何があるかを見えるようにしておき、こどもが自分で選んで遊び、納得いくまで遊んだ後は元あった場所へ返すという流れが理想的であると聞いたことがあります。
モンテッソーリの園などでもこの方式が前提のレイアウトが多いように思います。

これを参考に、実施しているのがこちらの写真。

数あるおもちゃから、今日触れるものをいくつか選んで、こどもの手が届く高さに置いて並べています。
すると、満遍なく色んなおもちゃで遊ぶようになりました。
以前は、おもちゃが山のように積んであったことで、手に取りやすいものや目に付きやすいものばかりで遊んでいたのです。

でも、たくさんあるおもちゃの中から、その日遊ぶおもちゃを選ぶのは手間が掛かりそうですよね。
家事や仕事をしながら、とてもそんなことにまで時間を割いてはいられません。

そこで、頭をひねってアイデアを出してみました。

「まなび」と「おかたづけ」の両立、"All in One Day-Bag" Systemの誕生です。

家にある全てのおもちゃをいくつかバッグに分けて整理し、管理します。
普段、このバッグは納戸やクローゼットにしまっておくのです。
バッグ収納時のリビングやこども部屋はすっきりと片付きます。

一日のはじまりに、バッグをひとつえらんでリビングに運び、中身を棚の上に並べます。
日中、こどもは棚の上のおもちゃを選んで遊びます。
まだ、自主的に片付けはできないので、一通り遊び終わったら、親が一緒になって棚に戻します。
絵本も一緒に並べてあるので、絵本を選んでくれば、絵本の読み聞かせをします。

一日の終わりに、おもちゃをバッグを仕舞います。
寝る前に絵本を読んで、読み終わった絵本もバッグに片付けます。
全部片付いたら、納戸にバッグを運んでおきます。


バッグには、類似性のあるものや、逆に粗大運動のものと指先作業のものを織り交ぜたりと親が知恵を絞って選定しています。
例えば、ハンマーでペグを叩き込むおもちゃと積み木と紐通しでは、手を使うという共通性がありますが、腕の作業>手の作業>指先の作業という段階の違いがあります。
また、各バックには「色鉛筆」「おりがみ」「シール」が入れてあるので、週に数回はそれぞれの作業をする機会が得られます。

リビングには、スケッチブックだけ置いておいて良いことにしてありますが、これは絵や貼り絵といった作品展示のためです。
こどもは、1歳児であっても自分の作品を見るのが楽しいようで、とても喜んでいます。

このシステムのポイントは、

・ある程度、数を限っておもちゃを与えること
・片付ける習慣を持つこと
・親が満遍なく遊びと学びの環境を与える手助けとなること
・部屋が整頓された状態を保てること

です。


もっとこどもに自由に選ばせたら良いのでは?または、絵を描くのがマイブームの時はどうするの?
という疑問を持たれる方もいるかもしれませんね。


重要なのは、これは「与える機会を逸しないこと」を仕組み化したものです。
こどものマイブームやバッグに無いおもちゃの要求は、積極的に後押ししてあげると良いと思うのです。
色鉛筆を使うのに夢中あれば、バッグからは出して、スケッチブックと同じくリビングの一角に保管し、毎日描く機会を用意してあげると良いのです。

こどもの様子を観察して、臨機応変に。
仕組みは、飽くまで教育と整頓の助けなのです。

とはいえ、この仕組みで我が家のリビングは随分と整理されました。

こうした暫定的な試みを積み重ねて、いずれ建築化や家具化できると面白いですね。



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