さむがりやのサンタという絵本をご存知ですか?
スノーマンでよく知られているレイモンド・ブリックズの作品です。
子供の頃この本が大好きで、クリスマスに限らず、年中読んでもらっていました。
なぜそんなにすきだったのか…たぶん、こんなところだと思います。
まずは、漫画のようなコマ割り形式で描かれていること。
それから、セリフが少ないということ。
そして、サンタはただやさしくニコニコしてプレゼントをくれる気の良いおじさんじゃないってこと。
コマ割りと少ないセリフは、物語に時間と空間を持たせてくれます。
そして、いろんな想像をして遊ぶ事ができるのです。
セリフのないコマに、創作でセリフをつけるようにと、母を困らせることもしばしばでした。
建築においても、こうした余白やいくつかの解釈を許容するしつらえがあると、住む人の暮らしも豊かになるのだろうと思います。
「さむがりやのサンタ」の魅力に話を戻します。
ぼやきながらも、トナカイやイヌやネコに餌をやり、夜通しプレゼントを配るサンタは人間くさい。
とくに、プレゼントを配り終え、家に帰って来てからは、食事のあとテレビをみて、コーヒーを飲み、戸締りをして…私たちと変わらない「一日を綴じる儀式」をしてベッドに入るところなどは、親近感を覚えずにはいられません。
また、眠っている街ではサンタだけでなく牛乳配達員などが働いています。
こどもたちの知らないところで流れる時間や人の営みが在るということも表現されているので、秘密を垣間見るワクワク感もあるのです。
三十年ほど前に私が読んでいた本を、息子に読んで聞かせる日が今からとても楽しみです。
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