語りかけには言葉のダンスを<育児の現場から>

育児において、語りかけはとても大切だと考えられていますね。
今回、読んだ本にも語りかけの重要性、とりわけ「言葉のダンス」と称されるものが、こどもの知能の発達に大きな影響を与えることが書かれていました。


教育×破壊的イノベーション
クレイトン・クリステンセン

生まれてから36ヶ月の間、こどもに語りかけられる言葉の数が、その後の発達に大きな影響を与えるというのです。
そして、まだあまり反応がないように見える最初の一年が最も重要なのだそうです。

こどもと大人の間で交わされる会話には、「用向きの会話」と「余分な話」があり、後者がより効果的に知能の発達を促すのです。

「用向きの会話」は、やるべき事を伝えるだけの会話。
「余分な話」は、私的な大人の会話。

この「余分な話」=「言葉のダンス」です。

それは、身の回りで起こっている事について話しながら、疑問を投げかけたり、意見を求めたりするような会話です。
例えば、「こうなったらどうする」「ああした方がいいんじゃないの」というものです。
こうしたやり取りが、こどもの好奇心を育むのです。

なるほど、と思ったところで、面白い事に気がつきました。
最近、こどもと読んでいる絵本は、「言葉のダンス」を生みだしてくれているのです。

ひとつは、「ブルーナの0歳からの本」です。第二集のたべものや第三集のどうぶつが特に良いですね。
この本は、アコーディオン型になっていて、りんごやバナナの絵が一頁にひとつずつ描かれています。
文字はありません。
ですから、そこで交わされる会話は「言葉のダンス」だけになります。
「りんごは赤いね。どんな味がするのかな?」「皮を剥いたら中は何色だろうね?」という具合です。

もうひとつは、「あさになったのでまどをあけますよ」です。
こちらは、短い文章と豊かな絵で構成されています。
美しい風景の中、小さなお家の窓をこどもが開けています。
風景には家の他にも山や川や町がひろがっていて、文章では語られていない部分がたくさんあります。
文字だけ読んでいくとすぐに終わってしまうので、絵本の中を寄り道しながら読んでいました。
「窓を開けている子はどこにいるかな?」「この車はどこにいくのだろうね?」など。

言葉のダンスは実際の行為と結びつきが強いほど良いのだろうとは思うのですが、絵本の世界でもできることはたくさんありそうです。

0歳児のための絵本は、「まだ文字が読めないから」ではなく、「親子の間に言葉のダンスが生まれるために」文字が少ないことを積極的に楽しむのも良いかもしれませんね。


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