佐川美術館パート3 樂吉左衛門×高谷史郎

前回までは、佐川美術館の建築についてレポートさせていただきましたが、
今回は展示についてお知らせしたいことがあります。

樂吉左衛門館では、「吉左衞門X 暗闇の音 静寂の光」が4/7まで開催されております。
前回ご紹介しました、あの光芒のさすコンクリート空間にある黒い棒状のもの。あれも今回の展示の作品なのです。
回転式のスピーカーになっており、樂先生の創作過程の音を記録した音声を流しております。
この作品を手がけたのは、高谷史郎氏です。ダムタイプの名前を聞かれたことがある方もいらっしゃるかと思います。
映像や音を使った作品を中心とした活動をされている方です。

展示室内は写真撮影禁止のため画像がご用意できませんが、佐川美術館のホームページに案内がでております。
高谷氏は、この樂先生の陶芸に対し、光線を当てたり、レンズを通して見せたり、器を360°高解像度スキャンした映像を
ループさせたり、めまぐるしく変わる映像を投影したりしています。
展示を見て自分を疑ったのは、陶芸を美術館でみると勝手に何百年前の歴史の物に見てしまっていること。
でも、ここにあるのは今でも現役の樂先生のもの。自分が勝手に陶芸を過去のものとして扱ってしまっていることに愕然としました。
これは、高谷氏の仕掛けによるものであるとも思っています。
陶芸に対し、テクノロジーのデジタルを掛け合わせ見せることにより時代感覚がなくなりました。
時代的に同時に存在しえないものが、タイムスリップして同居しているような感覚といえば伝わるでしょうか。

建築の事、展示のこと、いろんなことが気になり、学芸員の方に話しかけてお話を聞きましたところ、
今回の展示には、あの坂本龍一も訪れたようです。(坂本龍一ファンとしてはテンションのあがる情報です。)
高谷氏は坂本龍一のオペラ「LIFE」で映像ディレクションをされています。

3/3までは、樂記念館5周年記念企画で離の茶室の方でも高谷氏の作品が展示されるそうです。
普段は事前予約しないと入れませんので、ご興味のあるかたは、ぜひこの機会に行かれることをおすすめします。